ヘイフリー・キーティングの実験の考察



この実験は1971年、二機のジェット機にそれぞれセシウム原子時計を二基積み東回りと西回りで地球を一周させ地上の基準時計との差を測定するというものです。

特殊相対論の運動する物体の時間はゆっくり進むという効果は、東回りが[自転速度+ジェット機の速度]で最も速度が早く、次に地上が[自転速度]で一番遅いのが西回りで[自転速度−ジェット機の速度]となります。
高度1万メートルを飛ぶジェット機は一般相対論の高度が上がるほど時間が早く進む効果を合わせると、西回りは地上より275ナノ秒(275×10
−9秒)進み東回りは地上より40ナノ秒(40×10−9秒)遅れるという予測と実験結果がぴったり一致したということだったのです。


相対性理論の解説書に速度による時間の遅れを証明した実験として必ず取り上げられている実験です。
当時の原子時計の精度は10
−10〜10−11秒なので動かし難い事実とされてきました。

しかし、2000年にアイルランドの科学者A・G・ケリーが実験の生データを確認した結果、原子時計の誤差のほうが理論値より大きく有意な結果は出ていなかった事が判明した。

発表された実験データは理論値に合うように修正されていたのである。
実は原子時計の精度10
−11秒とは1秒間に10−11秒位遅れるか進むかするという意味で、遅れれば遅れ続け、進めば進み続けるという性質があり10時間もすれば予測される理論値より誤差のほうが大きくなってしまうのです。

しかし、これに対して相対論者の意見は二つに分かれています。
一つは、一定時間の誤差の平均で観測値を補正したもので実験結果は正しいとする意見。
もう一つは、この実験では時間差は発生しないというものです。

まず実験結果が正しいとした場合の考察


図−2

図-2は実験を分かりやすく簡略したものです。


図−3



Aが基準時計、Cが西回り・Dが東回りのジェット機に見立てています。
この実験結果は、あくまで静止系の観測者Bの観測結果です。

観測者Aから見ればC・Dともに同じ速度で観測者Aに向かってきていて、
観測者Aには図-2も図-3もC・D同じ時間の遅れが観測されるはずです。

実験結果が正しいということは図-2と図-3では観測結果が違ってくることになります。



図−4

さらに図−2のA・D・Cを一つの慣性系(0.6Cで航行するロケット)にまとめたのが図−4です。
図−4では、宇宙空間に対象物が一つも無くてもロケットの前方と後方から中心に向かって一定速度で時計を移動させて時間の進み方の違いを測定すればロケットの速度が分かることになります。

時間の遅れは固有の速度によって決まり相対速度によらないことになり、双子のパラドックスなどありえないことになるのです。

これは、最終的に相対性理論を否定していることになる。


次に、時間差は発生しないとした場合の考察

確かに速度による時間の遅れに関しては双子のパラドックス等の関係から言えば正しいようにも思える。
しかし一般相対性理論の高度による時間の進みが考慮されていない。
少なくとも高度差による時間の進みは検出されるはずで、時間差が発生しないとすると一般相対性理論を否定していることになる。