相対性理論について 2012年5月追補





最近のネットでの相対性理論肯定派のサイトの情報の誤りや発言の軽さ、それを鵜呑みにしたいい加減な情報を垂れ流しているサイトを見ていると懐疑派の私としても黙っている訳にはいかないと思い2011年中色々調べて2012年4月現在の相対性理論肯定派の怪しげな主張について指摘していきたいと思います。
色々調べているうちに同じ工学系の技術者でありながら肯定派の人と懐疑派の人のサイトが在りました。
非常に興味深い現象です。
相対性理論がなければ何も出来ないと言う人まで居るのに、工学では相対性理論が必要不可欠ではないという事でしょうか。


1) 
「ニュートン力学が極限(光速に近付くと)において破綻している」

必ず言われている事ですが、実際はニュートン力学は破綻していません。
これは荷電粒子の加速実験の結果をニュートン力学で説明しようとした為で、この事象は電磁気学や量子論で扱うべきもので畑違いのニュートン力学ではうまく説明出来ないのは当然の事です。


2)
「相対性理論の記述は原論文のそれとは変わっている為いまさら論文の誤りを指摘されても・・・・・」

記述が変わっている事に何の違和感もなく主張しているのが不思議でなりません。
ニュートン力学やケプラーの法則等の記述が変わったという話は聞いた事がありません。
観測結果と合わなくなったので変えざるを得なくなったのではないのでしょうか。

なんだか憲法第9条と自衛隊の関係とそっくりですね。
原文を文字通り読めば自衛隊は違憲になってしまいます。
そこで色々な理屈を付けて憲法の解釈の仕方によって違憲ではないとしています。

もしくは天動説の周転円のようです。


3)

「特殊相対性理論は多くの実験結果から正しいと言えるがニュートン力学がそうであったように特殊な条件下において破綻している可能性もある」

最近になって言われる様になったものです。
絶対に正しいとは言わなくなったのはいいのですが、特殊相対性理論の特殊な条件とは何でしょうか。
僅か数mm毎秒から超光速まで殆ど全ての速度に対応しているはずです。

推測するにこの特殊な条件とはGZKカットオフを超えるエネルギーの宇宙線が観測された為、高エネルギー条件下では破綻しているかもしれないと言いたいのではないかと思います。
ところがこの高エネルギーの宇宙線とは光速に非常に近い陽子の事なのです。
光速に近い領域ではニュートン力学は破綻しているとして発表された特殊相対性理論も光速に近い領域では破綻しているかもしれないというのも皮肉なものです。


GZKカットオフとは、4x1019eV以上の高エネルギー宇宙線は相対性理論によると背景輻射のマイクロ波と反応して吸収されてしまうので1億5千万光年以遠からはやってこないというものです。

あと「多くの実験結果」とよく言われているけれどネットでいくら探してもそのような実験の記述が見当たらないのはなぜでしょう。


4)
アスペの実験結果は相対性理論の反証とはならない」

アスペの実験はベルの不等式の検証で、不等式が成立すれば量子論は間違っており、成立しなければ量子論は正しかったという事で、アインシュタインは『神はサイコロを振らない』といって量子論は間違っていると主張していたが、アスペの実験結果は量子論が正しくてアインシュタインの主張が間違っていたというだけのことで相対性理論の成否とは関係がないというのが主な主張です。

しかしこの実験の元になったベルの論文の最後には「もし量子論が正しければその理論はローレンツ不変にはならないであろう」との予想が述べられている。
別の言い方をすれば「量子論が正しければ相対性理論は間違っている」という事なのですがこの部分に関しては一切触れられていないのです。

この部分を下手に検証してベルの主張が正しかった時には相対性理論が瓦解してしまうので、量子論は正しかったが相対性理論の反証にはならないという事でお茶を濁しているのではないでしょうか。


5)
「一般相対性理論は極限として特殊相対性理論を含んでいるので一方が正しくて一方が間違っているという事はありえない」

よく聞く事ですが、極限として含むと言う事は極限に近付くにつれて付加された数式や係数が小さくなっていき極限に於いて数式が等しくなるという事です。
元の数式が正しいとすれば、数式や係数を余分に付け加えられた方は間違いと言う事になります。
また逆に付け加えられた方が正しければ元の式は間違っているのです。
厳密に言えば一方が正しければもう一方は間違っているのです。
両方とも間違っているという事はあっても、両方とも正しいという事はありえないのです。

相対性理論で言えば特殊相対性理論は一般相対性理論の極限に於いてのみ正しい事になります。
一般相対性理論の極限は g=0 すなわち重力のない空間でのみで正しい事になるのです。
地球上はもちろん太陽系内、更には星間空間でも銀河の重力があるので正しくない事になります。

これは特殊相対性理論とニュートン力学にも言える事で、もしも特殊相対性理論が正しければニュートン力学は特殊相対性理論の極限 V=0 に於いてのみ正しいという事になります。
これは速度のある事象はニュートン力学では扱えない事になります。
ニュートン力学のみに止まらず、ケプラーの法則やその他のニュートン力学を元に導き出された全ての法則は速度のある事象が扱えないことになります。


6)
「相対性理論と量子論が合体して出来た場の量子論を肯定して特殊相対性理論を否定するのは・・・・」

確かに場の量子論には相対性理論が組み込まれておりそれなりに発展してきたのも事実です。
しかし、発展してきたのは相対論の制約のない比較的エネルギーの高くない粒子の分野です。

場の量子論には積分が無限大になるという『発散の困難』の問題があります。
この問題を解決する試みが色々されましたが発散を収束させると相対論的不変性を満たさなくなり、相対論的不変性を満たそうとすると場を量子化できないという問題が発生して未だに解決できていません。
この問題は、4)でも取り上げたベルの予想「量子論が正しければその理論はローレンツ不変にはならない」の通りになっているのです。
しかし相対性理論を組み込んだ為に相容れない要求が満たされないという袋小路に入ってしまい抜け出せなくなっているのです。
もっといえば相対性理論は場の量子論の足かせ以外の何物でもないのです。
相対性理論を否定した方が場の量子論の問題の多くを解決出来得ると考える人が居たとしても不思議ではないのです。

相対性理論を組み込んだおかげで量子論が発展してきたと思っているからこんな主張が出来るんですね。
さらに量子論が基礎になっている半導体技術も相対性理論のおかげという事になるのでしょう。


7)
「特殊相対性理論は極限にニュートン力学を含むのでニュートン力学がそうであるように加速度運動も扱える。」


これは 5)でも述べたようにいくらニュートン力学で加速度運動が扱えたとしても付け加えられた部分が加速度運動に対応出来なければ加速度運動は扱えないのです。
また一般相対性理論が正しければ特殊相対性理論は一般相対性理論の極限でのみ正しいという事になり、g=0に於いてのみ正しくさらに等価原理で重力と加速度は等価であるから加速度が0のときのみ正しい事になり加速度運動は扱えないことになります。

実際双子のパラドックスで方向転換時の急激な加速度が問題になったので、加減速をすべて1Gにした双子のパラドックスにすると今度は一般相対性理論で説明されているのです。
この説明にも色々怪しいところがあるのですが、特殊相対性理論で加速度運動が記述できるのならこのパラドックスも特殊相対性理論で説明出来る筈です。


8)
「相対性理論はすでにGPSやシンクロトロンに応用されている」


GPSについてはカーナビと相対性理論の関係に関する考察のほうで詳しく説明していますのでそちらを参照してください。

シンクロトロンは確かに相対性理論を使って作られています。
しかしこれは当然の事で、特殊相対性理論は荷電粒子の加速実験の結果を基にニュートン力学は光速付近では破綻しているとして発表されたものなのです。
この実験結果に合わなければ特殊相対性理論は発表した時点で却下されているだけで合っていて当然のことなのです。
さらに言えば、この実験結果から数式を導き出せばその数式を使ってシンクロトロンを作る事も出来るのです。
特殊相対性理論が無ければシンクロトロンが作れない訳ではないのです。


9)
「いまや1mは299,792,458分の1秒間に光が進む距離として定められていて相対性理論の前提である『光速度一定の原理』はあらゆる長さの基準になっている」

これは万人の認める真空中の光速は光源の速度によらず一定であるという「光速度不変の原理」に基いたもので、相対性理論の前提である『光速度一定の原理』とは関係有りません。
ニュートン力学に基けばどこでも同じ時間に光の進む距離は同じ1mになります。

しかしパリのメートル原器よりは遥かに正確かもしれないけれど、一般相対性理論が正しければ緯度や標高によって、極端に言えば場所によって時間の進み方が違うので同じ長さが1つも無い事になるのではないだろうか。

時間の進み方は違うが同じように空間の曲がり方も違うのでどこでも同じ長さになると主張するのでしょうか。
しかし、その場所固有の時間をどうやって計るのでしょう。
原子時計で測ったとしても機差(その機器固有の誤差)が含まれる為、それがその場所の正確な時間の進み方とは限りません。
原子時計の誤差を校正する手立てがあるのでしょうか。

相対性理論が正しいと信じている人達が誇らしげに主張している事が不思議でなりません。


以上が主なところで、そこからさらに派生していて数え上げたら限が有りません。


相対性理論では運動は全て相対的でどちらが動いているか特定できないと言われていますが回転運動は特定出来ます。

典型的な例として宇宙空間に地球と静止衛星の二つしかない場合を考えて見ましょう。

この場合相対的静止の状態ですが地球から見れば引力があるのに衛星が落ちて来ないのはおかしい、また衛星の方でも引力があるはずなのに無重力状態でなおかつ地球との距離も変わらないのはおかしい事になります。
唯一の合理的解釈は同じ角速度で回転しているという事です。

まず地球では地表の重力加速度と地球の直径・衛星までの距離が分かれば自転速度が計算できます。
さらに自転による遠心力を測定すれば自転軸が、フーコーの振り子を使えば回転方向も判明します。

一方衛星では重心の周りに数個の玉を置けば水平方向の玉の動きで回転周期が、垂直方向の玉の動きで運動方向が分かります。
あとは地球までの距離と地球の直径が分かれば運動速度は計算できます。

ここで衛星の時間について考えて見ましょう。
相対的静止状態であるから相対速度は0なので速度差による特殊相対性理論の効果は0になるはずです。

それとも地球の自転速度による相対論効果と衛星の周回速度による相対論効果を差し引いた値を衛星の時間とするのでしょうか。
原子時計実験の考察では触れなかったのですが、地上の時計は自転速度の相対論効果で遅れるという記述があったのですが何に対して遅れるのでしょう。

時間(1秒)は地上のセシウム原子の振動周期によって規定されいるので、あくまで地上の時計が基準で、地上の時計が遅れるのではなく観測者の基準とした時計が進んでいるのです。
数式ばかりが独り歩きしていて物理的意味が置き去りにされているような気がしてなりません。

また回転運動ではお互いの距離と遠心力を測定すればどちらが回転しているかあるいはお互いに回転しているかが分かります。
そして回転速度やお互いの距離によって見かけの運動速度が簡単に光速を超えてしまいます。
一番分かりやすいのが天動説です。
地球が静止していて他の天体が地球の周りを回っているとすると、海王星ですでに光速を超えてしまいます。


相対性理論が発表されて約100年、中学・高校程度の数学で解けるといわれている特殊相対性理論ですら意見が統一されていない。

当然、一般相対性理論の基礎である等価原理に関しては解釈がまちまちで統一されていません。

最大の疑問は加速度運動でも空間が曲がるのかという事なのです。
一部のサイトでは曲がると断言していますが、大方のサイトはその部分には触れていません。
重力と加速度は等価ではあるが同じではないというのが大勢のようです。

重力と加速度が全く性質の異なるものである事は以前から色々指摘されていて否定も出来ないためこのような主張になっているのでしょう。
また加速度で空間が曲がるとした場合に不具合が生じた時、等価ではあるが同じではないので重力で空間は曲がるが加速度では曲がらないと主張するためなのでしょう。

掲示板等で確認しようとも思いましたが、どの板も誹謗中傷・罵詈雑言の嵐でとても質問できるような雰囲気ではありません。

現時点では等価原理に関しては主張のブレが大きすぎるので指摘はやめておきます。

昨年9月末の超光速ニュートリノもほぼ予想通りの収束になりましたが、これは氷山の一角だろうと思います。
今回の場合は複数の国の多くの研究者が携わっていた為に発表されましたが、一研究室や一個人の研究結果の場合誤差や間違いとして発表されないか、発表されたとしてもどこかで止められて表に出てくる事はなかったと思います。